苦痛脱却帳

苦痛や不幸から抜け出す方法を書いていきます

37:パン屋の仕事内容(職場15か所目)

15か所目の仕事場、パン屋(イートイン可能)でアルバイトとして働いた(2019.6~2020.7)。この仕事についてはブログで詳細を記入していなかったのでここで記入する。世の中のアルバイトの求人情報を見てみると、資格や経験がなくても応募できる職業は、基本は接客業が多く、その中でも飲食業が特に多い。その仕事に対応できれば将来的に仕事・アルバイトの応募先を広げられるし、以前アルバイトでファストフード店の仕事をしたときの自分の要領が悪さをある程度反省できていたので、次は以前よりうまくやれるのではと思い飲食業に再挑戦することにした。

この仕事をしているときは最後まで記憶障害や耳の聞こえづらさの問題は起きなかった。メモを持ち込んでよかったため、物覚えの悪さについてはある程度カバーできた。教えてもらったことは全て漏れなくメモをした。クリーンルームのような衛生的な閉鎖空間で作業する職場ではメモは持ち込めないので、おそらく自分は絶対に無理だっただろう。
駅前でアクセスがよく通勤時間が短い。店舗がビル内に入っていたためトイレ掃除がない。そしてファストフード店で悩まされたレジとドリンク類製造の同時作業がない(レジとドリンクを製造する人が別々だったのを下見に行ったときに見た)。色々と条件がよい職場にだったので応募した。


ーーーーーーー[★仕事内容]ーーーーーーー
【接客レジ打ち】
客が店内のパンをお盆に乗せてレジに持ってくるシステムの店だった。最初から袋詰めされていれば、袋に貼ってあるバーコードをレジで読み込むだけで会計できるのだが、この店では焼き立てのパンを出すことがウリなので、事前の袋詰めはしないで売る。
よって、パンの名前を全て覚える必要がある。客が持ってきたパンを見て、パンを判別し名前を思い出し、そのパンのレジキーを押す。
パンは70種類ある上に、1か月ごとに新商品や期間限定メニューが入る。その全てのパンの名前を覚える必要がある。

非常に親切な店長で、全商品名と全商品写真が印刷された紙雇用契約の日に渡してくれた。
自分はそれをコンビニのコピー機で拡大印刷して、切り取り、英単語や九九を覚えるかのように単語帳状にして、毎日自宅で見て、無事全商品を覚えることができた。

レジのタッチパネルを操作するにあたって、レジキーの位置も覚えなければならない。
悩んでいることがあるか店長に聞かれたとき、複雑なレジキーの場所を覚えるのが難しいと申し出たら、レジキー配置図を印刷して渡してくれた(仕事を初めて3日目?だったかと思う)。それで家で自主的に勉強できた。(ここまでしてくれる店長はなかなかいない。)
レジのタッチパネルは、以前働いていたハンバーガー店とは違い、種類ごとにうまく ※色分け されており、ある程度規則正しく並んでいるので、レジキーは慣れれば比較的楽だった。
※色分け:総菜パン、菓子パン、食事パン、蒸しパン、サンドイッチ、…という具合にジャンル別に色分けされてる。

そして新商品や期間限定メニューのボタンは、あらかじめ新商品用に開いている画面端に追加される。(1か月すると各ジャンルの位置に吸収され、通常商品となる。)
以前働いていたハンバーガー店では、ジャンルごとに並んでおらず、新商品のボタンもたまたま空いている位置に無理やり押し込む感じでわかりにくかった。

レジでの仕事
・レジで合計金額を出す
・現金払い ― 対応が一番楽。
電子マネー払い ― 専用の端末があるが、操作が少し難しい。操作が何段階かある。特に数字を打ち間違えた時は、操作(間違い)→取り消し→再操作で3回も端末をいじることになるので大変。
・クレジットカード払い ― 難しい。一括・分割・ボーナス払いがあるが大抵、というか対応した全員が一括だった(と思う)ので「一括でよろしいですか?」と質問して、返事をもらい端末を操作していく。操作は何段階かある。金額打ち込みの数字の間違に注意する。間違えれば、こちらも操作(間違い)→取り消し→再操作で3回も端末をいじることになりお客さんを待たせることになる。
・ポイント支払い対応 ― ポイントカードを端末に入れ使用ポイントを入力してOKを押すだけ。(これは楽なほう)
・ポイントカードにポイントを溜める ― ポイントカードを端末に入れ、金額を入力するとポイントが付与される。
・コーヒーチケットの使用 ― コーヒーチケット専用のボタン(0円会計ボタン)がある。(コーヒーチケット購入も可能、その専用ボタンもある。)
・近隣の映画館の半券で特定の飲み物店内無料サービス ― これは専用のボタンがないので、ボタンを押さずに会計(購入してない事にして会計し、無料で商品を渡す)。
・商品券での支払い対応 ― 使える商品券が20種類ほどあり、提示されたものが使えるものかどうかをチェックする。お釣りの出ないものとお釣りが出るものが存在するので注意する。
・領収書の記入
商品、クレジットカード、ポイントカード、お釣り、レシート、クレカや電子マネーのレシートを全て忘れずに渡す。

以上が一連の動き。これを覚えるだけでも大変だった。普通の人なら仕事外の時間で予習復習することなく、仕事時間内で覚えられるのかもしれないが、自分は発達障害気味なので、仕事中だけでなく、帰宅後も休みがないくらいに勉強・練習が必要だった。

【ドリンク製造】
レジの人から伝達されたドリンクを製造する。冷蔵庫から取り出して注ぐだけの比較的単純なものが多かったが、炭酸を注入する必要のあるドリンクだったり、ミキサーを使い時間をかけて製造するドリンクもある。
ホットコーヒー、ホットカフェオレ、ホットココア等は温める必要があるため時間がかかる。ミルク・砂糖・ガムシロップ類は自由に持って行っていいシステムだったので、レジで渡す手間がなかった。(←これは素晴らしい。以前働いたハンバーガー店ではレジで渡すので手間がかかるし、サイズに対して数が決まっていたしのでかなり厄介だった。)
土日の昼間12:00~13:30くらいは、客が途切れることなく接客が続く。

*自分の短期記憶力のなさは相変わらずであった。
レジAから「ホットコーヒーとコーラS(店内飲食)」、直後にレジBから「アイスティーM持ち帰り」の用意の代行を頼まれたとする。そのとき「ホットコーヒーとコーラS」を用意している時に次の商品が何だったか(アイスティーM)を忘れてしまう。アイスティーMを覚えていたのはいいもの、持ち帰りでなく店内用のものを用意してしまったり。これは通常の人にも起こりえるミスではあるが、自分の場合はそれが多すぎた。注文を何度も口ずさんだり、メモしたりした。メモでせず忘れてしまい、レジの人に聞き返すことが何度もあった。注文が立て込んだ時にはレシートを印字してくれるので、それを見て用意する。毎回レシートを印字してくれればいいのだが、そうはなっていなかった(注文が立て込んだ時だけだった)。


【ベイク作業(パンを焼く&焼く関連の作業)】
以下の仕事を全て一人で行う
1.ホイロ(パンの発酵させる機械)内のパンの膨らみ具合の確認
2.パンの焼成前作業(霧吹きで水をかける、手粉、粉砂糖、きび糖、グラニュー糖、塩、ごま、ブラックペッパー、ケチャップ、からしマヨネーズ、バター、マーガリン、パルメザンチーズ、チェダーチーズ、モッツアレラシュレッド、卵の黄身、ベーコン、チョコを等使用)
3.パンを焼く作業――(温度調整(上/下)、火力調整(上1~8/下1~8)、時間調整、3つの値を確認して焼く。 例:温度190℃/200℃ 火力上2/下3 8分間)
4.焼かれたパンに仕上げ(霧吹きで水をかける、粉砂糖、杏、オリーブオイル、バター、マーガリン、バジル、パセリ、明太子、ホイップクリーム、チョコ等を使用)
5.品出し(パンを店頭に並べる)
6.洗い物

(5品出しは他のメンバーがやってくれることもある。2・4の仕事も極めて忙しい状況の時には他のメンバーがサポートしてくれることもある。しかし基本は一人ですべて行わなければならない。)

1.ホイロ時間が長いと既定の大きさより大きくなる「ホイロオーバー(過発酵)」になるので常に気をかける必要がある。
ホイロ機械の中には20種類程度のパンが入っている。パン生地が10cm×15cmの大きさになったら取り出す、8cm×8cmに膨らんだら取り出すなど規定があるが、いちいち20種全種のパンを取り出して大きさを確認する余裕はない
よって目視で取り出すことになるが、これがどうしても難しく、感覚でうまくやるのが苦手な自分は、何度もノギスで大きさを測ることになり、仕事が極めて遅かった。

焼成前作業手順、3パンを焼く際の各数値、4パンを焼いた後の仕上げ手順、をエクセルで簡易的な表にまとめたものを自主制作した。しかしそのメモを見る余裕すらなかなかなく、結局頭で覚える事が多かった。
分量も10gだとかの規定があっても、はかりで量る余裕がないので全て感覚でやる(これは全員やっている)。難しい。
そして焼く際の数値、温度:190℃/200℃ 火力:上2/下3 時間:8分で焼くという場合、190・200・2・3・8を覚えないといけない。スチーム噴射のあり・なしもパンによって違う。難しすぎる。結局自分は、焼くときの数値は絶対に間違えられないのでメモを見て行っていた(ゆえに他人より作業がかなり遅かった)。
しかも常に窯の調子によって時間を変える必要がある。外の気温が高いとか。8分の規定を自分の感覚で7分に変えるとか、明文化されていない感覚に頼る部分が多い
デッキオーブンは縦に3つ並んであったが、上段と下段が稼働している時は中央段は熱くなりやすいので少し焼く時間を控えめにするだとか、簡単に1~2分は変わってくる。
そもそもレシピ表の公式数値すら、この店と違う店舗での数値なので、各店舗で一人一人が微修正する必要がある。律儀にメモに従っても違う部分が出るのだ。この辺は感覚で最後まで一切コツがつかめないまま仕事を辞めるに至った。

勤めた店にはデッキオーブン3か所、コンベクションオーブン2か所の合計5か所の窯があり、すべての窯の動きを認識しておかないといけない。
次々にパンを焼いていきたいのに、窯は温度が変わるまで時間がかかる。210℃→170℃に下がるまで待つとか、170℃→190℃に上がるまで待つとか無駄な時間ができてしまう。規定が180℃なら176℃~184℃になるまで入れられない。
温度の近いもの同士を連続して入れていくように言われたが、そこまですると覚えることが多すぎて頭がパンクする。(既ににパンクしているが。)
そのうえホイロ中の全種類のパンの発酵の進行具合チェックし、品出しもしないといけない上、洗い物も溜まっている。大忙し。

自分は複数の作業を高速で同時進行するのはやはり苦手だったと再認識した。
同時期にベイク作業に入った同僚はうまくやれている。店長には仕事の要領が悪い(時間の使い方が下手)だと言われたし、自分でも実際そうだと思う。

【発注業務】
大学生の多い職場だった。大学生は1日2~3時間しかシフトに入らない。たくさん仕事に入れるフリーターである自分が、発注業務を担うことになった(もう一人と担当は折半)。
バター、チーズ4種、鶏肉、ソーセージ、ベーコンといった食品や、スプーン、ストロー、マドラー、紙ナプキン、紙コップ、割り箸、レジ袋といった消耗品の発注作業。
どれだけ減るか予想して発注しなければならない。食品は消費期限があるので、常に先読みして発注する必要がある。
自分は慎重にしなければミスが出るので、30分~1時間サービス残業状態で働いていた。

【清掃業務】
「グリストラップ(床下の排水溝の部分)」という悪臭を放つ場所の掃除が苦痛だった。開くだけで悪臭が漂い、虫も居る。

グリストラップに沈殿した汚れと浮かんでいる汚れを掃除用の穴あきお玉ですくい出し、その汚泥を燃えるゴミに入れる。銀色のバスケット部分を取り出して、汚泥を燃えるゴミに入れる。これを毎日自分が担当。たまに跳ねてくるので最悪である。

 

ーーーーーー[同僚との人間関係]ーーーーーー
他の職場よりはうまく困難に対応できていた。しかし、同僚との人間関係は全くうまくいかなかった。自分だけ重要な連絡が回ってこなかったり、自分だけ無視されたり、自分の注文伝達に返事をしてくれないこともあった。女性比が非常に高い職場(9:1くらい)だったせいで、立場の弱い自分が、同僚の八つ当たり対象になってしまってもいた。
今思えば自分の言葉数も少なかったかもしれない。言葉数が少ないので警戒されて避けられていたのだと思う。たまに自分が話に混ざると会話が止まってしまう状態だった。


ーーーーーー[客・クレーム対応]ーーーーーー
毎日のように来る常連のクレーマーや悪意のある態度に苦しませられた。
最初の頃の自分はレジ・販売・ドリンク製造を担っていた。あるときレジで取り置きミスが発生。取り置きの電話を店員の誰かが受け取っていたが、それが伝達されておらず、パンの取り置きがなされていなかった。その客が店に来て商品を渡す段階で取り置きがない事が判明して、店頭に出ているパンから出すことになる。すると取り置きでなく店頭に置いてあるパンを渡すことになったことに対して激怒。その時店長は居なかった。何度も謝罪要求(店に居る3人全員に対して)し、大声で威嚇し騒ぎ、10分間レジに居座る。女性従業員を泣かせる。帰宅後にで40分のクレーム電話。私個人の名前を出して態度が悪い、私が一回も謝罪しなかったと言う(謝罪は何度もしていたのだが)。店に直接電話をするのでなく、駅ビルにクレームを入れてから、さらに店にクレームを入れており、クレームに慣れている人物のように思う(駅ビル通した方が店舗にダメージが大きいので)。クレーマーは自分が有利になるような嘘ばかりをついたが、店長が電話を受け取り40分間謝罪し続けた。それについて、自分が店長から責められることはなかったが、それ以降は基本は後方でのベイク作業(パンを焼く作業)に従事することになった。(上記のベイク作業の体験談はクレーム後の話である。)しかしそのクレーマーに店として真面目に対応してしまったためか、毎回レジ従業員を威嚇し(パンの乗ったおぼんをレジに置くときに叩きつけるなど)、高圧的で悪意のある態度をとって去っていくという繰り返しになってしまった。たまにレジに出て対応するたびストレスがたまった。結果としてクレーマーを増長させてしまったように思う。他にも紙コップでなく水筒に入れてと頼むのはいいのだが、毎回洗ってこずに、水筒を洗うように命令する客(これも店が律儀に対応)、店内飲食か持ち帰りか聞くと「こんな量食べられるわけないでしょ!」と怒る客など(4人で来て1人が代表で注文して店内飲食する場合もあるので量で持ち帰りかどうかは判断できないので聞くのだが)ストレスしかない職場だった。


⇒以上のようにクレーム、同僚との関係、仕事の難易度の高さの三重苦に苦しむようになった。改善案を自分の中で検討して実行するも、事態は好転することなく、結局退職。この経験から、接客業以外の仕事から職を探すことになった。今後の人生で接客業で働くことはないだろう。