苦痛脱却帳

苦痛や不幸から抜け出す方法を書いていきます

18:アニメショップ店員になるも誰とも仲良くできず仕事を全て任せられる嫌がらせを受ける

アニメグッズを取り扱う中古ショップで働く。この仕事では記憶喪失状態にはならなかった。アルバイトだが、フルタイムの10時間・週5勤務(月9日休みだった気がする)。勤務する店舗には自分含め7~8人所属していて、そのうち5~6人が出勤するシフト制。
商品としてはフィギュアが圧倒的に多いが、キーホルダー・ストラップ系、ぬいぐるみ、下敷き・クリアファイルなど様々。

 

【仕事内容】
1接客レジ打ち
これは一般的な接客業と同じだった。
・レジで合計金額を出す・・・中古ショップのため、料金は手で直接数字を打ち込む。間違えないようにしなければならない。
・ポイントカード対応・・・これは返却し忘れに注意する。たまにポイント2倍・3倍キャンペーンがあり、間違いに気を付ける必要がある。
・支払いの電子マネー払い対応(waon・iD・suica)・・・専用の端末があるが、操作が若干難しい。特に数字を打ち間違えた時は、操作(間違い)・取り消し・再操作で3回も端末をいじることになるので大変だ。
・支払いのクレジットカードの処理・・・難しい。一括・分割・ボーナス払いがあるが大抵、というか対応した全員が一括だったので「一括でよろしいですか?」と質問して返事をもらい端末を操作していく。クレジットカードはICチップがあるものとないものがある。ICチップあり専用読み取り機とICチップなし専用読み取り機が別々にあったので、ICチップがあるかどうかの判別をしてからそれぞれの機械に差しこまないといけない。操作も何段階かあるし、使えないカードもある(中国銀聯カードなど)。金額打ち込みの数字の間違いもあってはならない。間違えれば、こちらも操作(間違い)・取り消し・再操作で3回も端末をいじることになる。
・領収書の記入
・雨の日は袋にビニールをかぶせる
(・50000円以上の購入には印紙を付ける)
そして商品、クレジットカード、ポイントカード、お釣り、レシート、クレカや電子マネーのレシートを全て忘れることなく迅速に渡さなければならない。
⇒レジだけでミスを連発。飲食業だけでなく、接客業自体が自分にとっては厳しかったようだ。


2商品包装作業
これは非常に簡単で単純な作業だ。永遠にこの仕事だけしていたいくらい楽しい。小さな商品は透明なOPP袋(透明な袋)に入れる。袋が入らない大きなもの(フィギュアとか)はOPPロールで包む(フィギュアの大きさにOPPロールを切りセロハンテープで留める)。
アニメショップで購入する客は皆コレクターであるため、商品に直接値段シールを貼るのは厳禁だ。フィギュアは箱の状態のまま開けずに飾る人もかなり多いので、箱が傷めばそれだけで商品価値が下がってしまう。つまり商品を綺麗な状態で保つためという理由の他に、袋の上に値段表示のシールや、商品状態のを示す説明文、宣伝POPを貼るために包んでいる。

 

3清掃
一般的な販売店と同じように清掃作業も仕事の一部だ。商品のはたきがけをし、ほうきで床を掃き、従業員専用トイレの掃除をする。従業員専用のトイレは、吐き気を催す汚なさで、何をしても綺麗にならなかった。家から洗剤を持って来ようとも思ったが、そんなに意欲を出したらトイレ掃除担当にされることも嫌だったし、あまり新人が目立つことをするべきではないと思い我慢した。この辺は実際に仕事を初めてから出ないとわからないから困る。
⇒このトラウマ以降、自分は共用のトイレがある職場(自分でトイレ掃除をしなくていい職場)でしか働かないようにすることにした。

 

4商品を覚える
商品名と、店内の商品位置を覚えるのが非常に難しかった。競合店の情報を仕入れ、常に相場をチェックしている専門の人間がいるのだが、その人により値段変更の通達が出る。値段変更の指示があると、値段を変更する(値札を上から張り付けるだけだが)。その際は、どこに何が置いてあるか覚えていなければ商品にたどり着けない。しかし商品が多いので覚えるのが難しい。おまけに商品の入れ替わりが激しい。中古ショップ故に一点限りですぐなくなる場合が多い。せっかく場所を覚えてもすぐ意味がなくなってしまう。
覚えるために棚の全商品名をメモ帳に書いたり、商品の絵を描いたり、空き時間は棚を眺めたり、覚えようと努力したが、他の人並みに覚えることはできなかった。勤務している人でも覚えるのが苦手なジャンルは誰もがあったが、自分はどのジャンルにおいても記憶の面では誰の足元にも及ばなかった。
フィギュアは似たようなものが多い。キャラクター名、そのキャラの出ている作品名、バージョン(通常ver、制服verとか、~フォルムとか)、種類(figmaねんどろいど・プライズ・…)、これを覚えて初めて何か特定できる。
アニメは好きだったが、特に興味のない作品のキャラクターも覚えなければならないのは難しい。棚卸の時に数えたが、1階だけで1739個の商品があった(1種の商品が複数ある場合も当然あるが、別々に数えている)。おそらく店全体では5000個くらいだろう。

 

5買い取り業務(値段設定・相場チェック・商品状態チェック)【最も難しい業務】
中古ショップだから、当然買い取りしなければ始まらないのだが、買い取り業務は予想よりはるかに難しかった。
箱なしの裸の商品は、その商品自体が何なのかわからない。調べるのに時間がかかる。開封済み商品は、全てのパーツがそろっているかどうかの確認が難しい。というかとれない。取り外し可能か不可能か・関節可動域などはほぼ客任せ。よくわからないものは安めにつけるしかない。買い取りは複数人で行わない。アドバイスも基本もらえない。たった1人で全責任を背負う。商品が10個以上とかであれば、買い取りに時間がかかるので、電話連絡先を聞いて、査定終了後に電話する。しかし電話しても出ない人も居る。大変だが何度も電話をかける。
⇒取引を終えてから、高すぎる・安すぎるだとか、買い取りに時間がかかりすぎだと店長に何十回と叱られた。取引2回に1回は怒られた。店長の口癖は「買取はセンスだから」で、叱るもののコツは教えてくれなかった。

毎日叱られ続け、買い取り業務をして数か月してから全く別のフロアの人に、理屈立てて買取方法を教えてもらうことができた。以下にその方法を示す。

(1)買い取り表
買い取り店では、目玉商品には大抵の場合店頭や看板に、「うちでこの商品はこの価格で買います」という紙が貼ってあると思う。それを縮小印刷したリストみたいなものがレジに置いてあり、これが買い取り表で、確実にその価格で買い取らないといけない。(うちの店では、この買い取り表は内内の資料であるため、かなり作りが雑だった。五十音順でもないし白黒写真。200個くらいの商品が並んでいて、週2回くらいの高頻度で内容が更新される。本来ならあってはいけないが、自分も自分以外もよく見逃すミスを発生させていて、お客さんからの指摘で気づくこともあった。誰も気づかなければ間違った価格で取引され取引が終わる。。)

買い取り表に乗っていない場合は以下に進む。
(2)相場チェック
主にAmazonで相場を調べる。ヤフオク・オークファンを使う事も。(メルカリ等なかった時代なので、今はメルカリ等も相場を判断する材料に使っているかもしれない。)
自分の店では相場より若干安いくらいの値段を目標に売っていた。その値段で売ることを考えた買取金額で、利益をだして買い取る必要がある。Amazonは中古品の値段も載ってる場合もあるのでそれも参考にする。
(3)はたしてうちの店で売れるかイメージする(うちの立地している店舗の特性:男性客ばかり。圧倒的にメジャーな商品しか売れない。それ以外の商品は売れないので査定を低く出す。)
(4)箱の状態:箱が傷んでいたら減額する。
(5)中身の状態:開封済みの商品で中身に問題があったら減額する。
(6)在庫数:在庫がある場合、在庫を多く抱えたくないため低めに査定価格を出す。商品にもよるが、在庫が5つあったら値段を下げるとか。

お客さんとしては不本意だろうが、商品の状態がいいとしても低めに査定されることもある。本来5000円で買い取られるはずのものが4000円に、1500円で買い取られるはずのものが1000円になることもある。ゆえに(他の中古ショップでもそうだが)、同じ商品を数時間後・数日後に持っていったら高く出たということも普通にあり得る。しかしアニメグッズとかは旬が過ぎるのが極めて速いので、1週間くらい寝かせて…と考えるよりはなるべく早く売った方が基本は高めに査定される。悲しいがほぼ全ての商品は下落していく一方。基本古いものは店では売れないと考えていい。しかしものすごく巨大な店か、古いものを推している店はプレミアになるくらいまで持ち続ければ高く買い取ってもらえるかもしれない。
(7)キャンペーン:たまにキャンペーン価格を上乗せする(残念だが客よせのイベントなので、お客さんは損することはないが、ほとんど得してないと思う。キャンペーンの上乗せも見込んだ価格を出すため。)

(8)買い取り査定を終了しお客さんが了承したら、個人情報を専用の取引用紙に住所・生年月日・名前を記入してもらう。身分証を見せてもらい、店側が情報を加える。(免許証なら12桁の数字と発行都道府県を記入、保険証は保険者番号と個人番号を記入、住基カードは必ずコピーするとか、ルールがある。)そして、お金を渡す。ポイントカード対応。お客さんが売る商品を詰めてきた袋を返すかこっちで処分していいかを聞く(※わすれがち)。これで買い取り業務は終わる。

 

6品出し
商品が売れたら他の商品で場所を埋める/商品が入荷したら他の商品をよけて場所を作るという作業。中古商品は、コンビニなどと違い、同じ商品は基本複数置いていないので、売れた瞬間に空間にぽっかり隙間ができる。店の商品が歯抜け状態にならないように、レジに客がいない時に埋めに行く。

 

7開店作業・閉店作業
開店作業:音楽をかける、移動式の什器(=商品棚)を既定の位置に移動させる、朝の掃除。
閉店作業:音楽をかける、移動式の什器(=商品棚)を既定の位置に収納する、閉店後の掃除、現金残高チェック(支払いと残金があっているかのチェック)。20分くらい。
しかしこの時間についてはなぜか残業代は出なかった。

 

8ほかの仕事
買い取り値段変更・売値変更の電話が数回かかってくる(電話をとるのがめんどくさい)
相場チェックなど

 

【辞職理由】
なぜ辞めたのか。仕事内容の難しさもあるが、一番の原因は人間関係だった。

店長はあいまいな指示が多く、それで指示通りに動かないとよく癇癪を起こした。そして、自分の耳の聞こえが悪く、聞き返すこともよくあったため、聞き返すことに対して店長が怒り、関係も悪くなった。(この仕事でもかなり耳の聞こえづらさで苦労した。一般の人より聴力がないようだが、健康診断では全く問題なしとの診断になる。聴力検査の時は集中しているから聞き取れるのだろうか。。ストレス起因によるものなのかわからないが、今現在は聞こえの状態はいい。)

さらに、店長はPCでの正社員の仕事を、自分含めたアルバイトに任せることにしていた。給料が増えるわけではないのに、正社員の仕事も覚える必要に迫られ、覚える内容がどんどん増え、それに伴い復習量が増えた。(店長に非常に物覚えが悪いと言われた。)

また、自分があまりにも買い取り業務をできないせいで、店長含め半分のメンバーが自分の陰口を言っており、その陰口がある中で、親しくなろう、理解しようとするもなかなか動き出すことができず、仲の良い同僚もできなかった。何度も歩み寄ろうとしたが、相手が向きあってくれなければ仲良くなることはできない。自分のストレスに対しても色々解消法を試したが、結局「この会社に通う」という根本的なストレス原因を取り除かない限りは問題解決にはならない。

仕事を初めて1か月くらいは、自分に覚えさせるためにわざと自分に多くの仕事を振られる。これは覚えるためだと思い必死にこなしていた。その時期は一応クリアした。しかし仕事を辞める最後の頃には、全ての仕事が自分に押し付けられた。自分がレジ・商品包装・清掃・買い取り業務、全ての仕事をして、店長含め他のメンバーはフロアの端で何の仕事もせず、好きなアニメの話や自分の陰口をずっとしゃべっている状態。それが何時間も何日も続いた。それでいて戻ってきた時に店長に仕事が遅いと言われた。客を溜めるなとも言われた。この先も続くだろうな。ここで耐えきれなくなった。(前の仕事のように記憶喪失状態には至らなかったが、ストレスが限界を超えていたので、その危険もあり、辞職。)

翌日に「1か月後に辞める」と言うと、なんで忙しい時に辞めるんだと店長に返答された。コミックマーケットというのが1か月半ほど先にあった。(中古のアニメショップはイベント前後で流通が多くなるが、コミックマーケット前後が一番買取も販売も多くなる。)しかしそんなこと考えている余裕はない、辞めるとの一点張りをし、受け入れられた。その日だけは店長は皮肉を言われたり意図的に嫌がるようなことを言ってきたりしたが、翌日以降辞めるまでの1か月は平穏に進んだ。
一刻も早く辞めると決意して正解だった。この先もあの店長と働き続けてもその調子だっただろう。